Evolutionary Specimen of Fabrics

川島織物セルコンは、2023年4月18日(火)~23日(日)にイタリア・ミラノで開催される世界最大規模のデザインイベント ミラノデザインウィークに出展します。
3回目となる今回の展示テーマは「織物進化標本」。川島織物セルコンは創業時から、伝統技術の継承と進化への探求を通して織物の可能性を広げてきました。アートディレクターに照明デザイナーの岡安泉氏を迎えた本企画では、伝統の技術によってのみ可能だった表現を機械で再現・発展させることに成功した、言わば、“織物の進化”を、その織技術や素材、糸に至るまで細部にわたってじっくり観察していただけるよう、標本をイメージした展示で紹介します。

CONCEPT

Evolutionary Specimen of fabrics

織物進化標本

標本(ひょうほん):推測統計のため集団から抜き出した個々の要素。これに対してもとの集団を母集団という。サンプル。

一人一人の織り手にその存在が委ねられる伝統技術。それら伝統技術を真に継承していくためには、職人から職人への継承という形に加え、機械をはじめとする現代技術への継承、と同時に伝統技術そのものの発展が不可欠です。またその志から生まれる様々なファブリックの表現は過去のものから飛躍的に進化し、デザインの域を超えた全く新しい形態の織物とも言えます。
本展では、織物の進化した形態やそれを構成する技術・設計・糸の撚り方から素材などの細部に渡る要素までが次代に伝わることを願い、「標本」というテーマで表現します。眺めるだけではわかり得なかった糸の形状や織の組織などの詳細は、繰り返し丁寧に観察することによってのみ見出すことが可能となります。僅かな様相の中に潜む大きな発展の痕跡の発見を目指して、暗闇の中に明るく浮かび上がる“織物の進化”の標本を、じっくりと観察してください。

MATERIAL

material

苔や錆をモチーフに

年月を経たモノにしかない味わいや深みを持つ「錆」、朽ち行くものの象徴である一方で芳醇な緑に旺盛な生命力を感じさせる「苔」。この「錆」の腐食度によって変化する色やザラッとした感触、「苔」の微妙な色合いや毛羽立ち感、などの日本の生んだ美意識を、様々な糸や織の技法を駆使し、織物ならではの立体感や質感を活かして表現しました。

特にこだわったのは糸。箔糸や意匠撚糸と呼ばれるものを用いています。箔糸とは、もともとは金箔やプラチナ箔、薄くスライスした貝を貼った和紙を細く裁断して糸状にしたものを指し、現在では様々な方法で作られています。この箔糸を緯糸として織り込む西陣織の伝統技法「引箔」にヒントを得て、現代の技術で新しい箔糸の魅力を引き出しました。また意匠撚糸とは、様々な形状や色・太さの糸を撚って新たに作る糸の事を言い、組み合わせにより表情を変え無限の可能性を持っています。今回は、様々な色糸と箔糸を一緒に撚った意匠撚糸を使用しました。川島織物セルコンでは自社工場で意匠撚糸を生産しています。

ART DIRECTOR

Izumi Okayasu

岡安 泉 Izumi Okayasu

MESSAGE

今回展示する生地は、伝統技術を基に技術改良を加え進化を遂げた新しいテキスタイル達。それは新作でもなくマイナーチェンジでもなく進化。そのテキスタイル達が標本箱の中に置かれる標本の如く、仔細見やすく、整然と展示説明される状況を目指しました。伝統継承は、軸になるものを成しながら時代に合わせて進化し続けることで成し遂げられます。「温故知新」ではなく、歴史ある企業だからできる「伝統継承」の一手法として紹介したい。

PROFILE

照明デザイナー/1972年 神奈川県生まれ  岡安泉照明設計事務所代表
建築空間・商業空間の照明計画、照明器具のデザイン、インスタレーションなど光にまつわるすべてのデザインを国内外問わずおこなっている。 これまで青木淳「白い教会」、伊東豊雄「generative order-伊東豊雄展」、隈研吾「浅草文化観光センター」、山本理顕「ナミックステクノコア」などの照明計画を手掛けるほかミラノサローネなどの展示会において多くのインスタレーションを手掛けている。
https://www.ismidesign.com/

OVERVIEW

テーマ
Evolutionary Specimen of fabrics 織物進化標本
開催期間
2023年4月18日(火)~23日(日)11 : 00 - 21 : 00(最終日は18時まで)
会場
スーパースタジオ・ピュー(Superstudio Più)
https://www.superstudioevents.com/
住所
Via Tortona, 2720144 Milano MAP
アートディレクション
岡安 泉(岡安泉照明設計事務所)
ウェブデザイン
apart-apart inc.