光をコントロールして快適な空間へ フリッツ・ハンセン東京
- CASE STUDY
カーテンは、建物の窓から入ってくる光や風をコントロールし、快適に過ごすために窓に設置されることが大半でしょう。時折、更衣室の入り口などの目隠しや、間仕切りなどにお使いいただいていることもあります。
が、今回、なっ、なんと、現代美術のインスタレーションの一端を担ってしまったのです!!
目次
現在、京都市京セラ美術館で、開催されている 開館1周年記念展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」では、川島織物セルコンのカーテンが使われています。その量なんと2,500メートル、実に2.5km!
本展のアーティスト森村泰昌氏は、美術史における名画の登場人物や歴史上の人物、女優に扮するセルフポートレートを制作することでよく知られ、国内外の現代アートの第一線で35年以上活躍されています。今回の展示では森村氏の作品(ポートレート)約800枚が、なんとカーテン上に展示されているのです。天井高5メートルと美術館内でも比較的高さのある空間で、天井から床まで吊られたカーテンは、我々カーテンメーカーでもなかなか目にすることのない風景で、とても嬉しい圧巻の風景です。
この展示会のお話を伺ったのは昨年の夏。
・京都の美術館で、現代美術の写真作品を展示する
・作品の邪魔にならない、でも空間を演出する重要な役割を担うカーテン
・展示の関係上、カーテンには穴があけられること
などの相談をいただきました。
この展示構成は、京都市京セラ美術館のリニューアルを担当された建築家のひとりである西澤徹夫氏と森村泰昌氏のコラボレーションによるもので、展覧会全体で森村ワールドを体感するためにとても重要な役割を担っています。
最初は、建物の窓に掛けられる “いわゆる カーテン” のイメージをお持ちで、赤・緑・白・黒などの生地を当社の商品のなかから選定して提案しました。ところが会場構成が固まってくると、「グレーのカーテン」というイメージに固まり、当社商品には最適の色の生地が無く、特注色を作る事にしました。
まず、イメージされるグレーをカラーチップで指定していただき、それに近いグレーのサンプルを18色製作しました。その中から選定いただいた2色を会場と同じ高さ(5m)の模型に吊ってみて、決定の1色に絞り込みました。
製作した18色のサンプルはとても微妙な色の差で、この中からどのように決めるのだろう?と不思議に感じていたのですが、1色に絞られる過程を目の当たりにし、私達のモノづくりとの違いを興味深く拝見すると同時に、想像をはるかに超える完成形に、展示物の配置や照明の当たり方まで計算をしながら、どのように色を想像されていたのだろうと、感動を覚えました。
また、天井から床までぴったり収まるよう、縫製にも念を入れて仕上げました。
そして仕上がったのがこちら。
6月5日(日)まで開催されています。
会場へお出かけの際には、作品と共に、会場構成にも注目してみてください。
会 場 | 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ https://kyotocity-kyocera.museum/ |
会 期 | 2022年3月12日(土)~6月5日(日) |
開館時間 | 10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで) |
休 館 日 | 月曜日(祝日の場合は開館、5月2日は開館) |
オフィシャルHP | https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20220312-0605 |