帯のお手入れってどうするの? 帯メーカー推奨版!
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毎年一月は各地で成人式が執り行われ、振袖姿を見かけることが多くなるシーズンです。
これから成人式を迎えられるご本人はもちろん、そのご両親も、「そろそろ、準備しないと・・・」などと考え始める時期でしょうか。
現在の成人式事情と、これから成人式までにどのように準備したらいいの? などの疑問にお答えしていきます。
目次
毎年1月の「成人の日」前後には、その年度に20歳になる方を対象に各自治体で成人式が開催されています。
(※一部開催時期をずらす自治体もあります)
成人式は周囲から「大人の仲間入りを祝福する」という意味合いをもち、また本人は、「周囲の人へ成長した姿を見せ感謝を伝える機会」として捉えられることが多いため、成人を迎える本人や周りの人たちどちらにとっても大切な人生の節目と考えられています。
成人式のルーツは古く、奈良時代まで遡ることができますが、昭和に国民の祝日として「成人の日」が設けられてから、現在のように各自治体で成人の日の式典が開催されるようになったようです。
コロナ禍、成人式の式典が全国で内容の変更や開催の中止を余儀なくされたことは記憶に新しいですが、本年(2022年1月)ごろから徐々に式典を再開する自治体が増え、来年(2023年)には、続々と開催が発表されています。
特に来年の式典は、2022年4月に法律上の成人年齢が18歳に引き下げられたことで「成人式に参加する年齢も18歳に変わるのか?」などの話題で盛り上がった時期もありましたが、現在多くの自治体ではこれまで通りその年度に20歳を迎える方を対象として式典を行うことを発表しています。( 詳しくは各自治体のホームページ等発信内容をご確認ください )
このように、式典開催やそのあり方はすこしずつ環境に応じて変わっていく一方で、新成人たちの気持ちは、どのように変化しているのでしょうか?
実際に2021年1月に新成人を迎えた方に、成人の日をどのように過ごされたのか、式典がなくても振袖などを着たのか、コーディネートのポイントや準備は、等々について聞いてみました。
質問① 成人の日、またはその前後の過ごし方は?
質問② 振袖を着た満足度は?(5段階で)
質問③ 振袖の準備はどのように?
質問④ コーディネートのポイントは?
成人式はなくなってしまったけれど、祖父母に振袖姿を見せられて満足。今後は卒業式などで振袖を着たい。
① 成人の日前後の過ごし方
前撮りと成人式を予定していたけれど自治体の成人式がコロナで中止に。
周りの友達も成人式に行けなかった人が多かった。
前撮りとそのあと家族(家族+両祖父母)との食事会で購入してもらった振袖を着た。
成人式は中止になってしまったけれど、一生に一度しかない機会だから、以前から振袖は着たいと思っていた。
② 満足度 ★★★★★
一生に一度の機会に振袖を着たかったし、祖父母にその姿を実際に見せられたから。
③ 振袖の準備
前年の4月(9カ月前)頃からはじめた。着物をいくつか周りの人に選んでもらってその中から選んだ。スタートは少し遅めだった。コーディネートの決め手は周りからのアドバイスと自分の好み。
候補を見ていく中でアドバイスをもらいながら最終的には自分で「これだ」と思うコーディネート(青い振袖と金ベースの帯にオレンジなどたくさん色の入った帯)にたどり着いた。
④ コーディネートのポイント
自分の好きな色の組み合わせのなかで、青がベースの振袖は意外と珍しい色だから選んだ。
最終的には顔映りで選んだ。
色選びなどの過程で自然に周りにある程度着物をよく知っている人にアドバイスをもらえたのがスムーズだった。
今後、卒業式や結婚式に呼ばれたときに着ていく予定。
一生に一度の日に思い出を残したかった。式はなくても久しぶりの友達と一日過ごすことができて満足だった。
① 成人の日前後の過ごし方
成人式に出席する予定だったが、自治体の式典がコロナで中止に。
レンタル振袖を着て前撮りを行ったのと、地元の神社に同級生と集まり、久しぶりに友達と再会した。
着るのが当たり前であると思っていたし、自分自身が着るのもとても楽しみにしていた。
一生に一度しか訪れない日なので写真を撮って、思い出として残したいという思いがあった。
② 満足度 ★★★★★
大満足だった。
自分の気に入った振袖を着られたことが満足な点。でも、やはり成人式がなかったことが悲しかった。
③ 振袖の準備
大学一年生の夏から準備を始めた。一年以上前のスタートで早い方だったと思う。
④ コーディネートのポイント
周りとかぶりたくなかったので、個性的な柄がポイント。
色も柄も装飾品も一つひとつ悩み、色々なパターンを試して、最終的にこれだ!と思うものを選んだ。
周りの人と一緒に見に行ったりはしたが、自分の好きでいいよと言われたので特に周りからのアドバイスはなかった。
色々な種類の着物を見て、自分が気に入ったもの、満足がいくものを選ぶのが一番だと思う。
一生に一度の日に思い出を残したかった。式典に参加し、友達と写真を撮るなど良い思い出ができた。憧れのあった振袖を着ることができて満足だった。
① 成人の日前後の過ごし方
成人式にレンタル振袖を着て出席。
式典は行われたが、短時間で写真などを撮影したあと、解散となった。
式典後は友人と振袖でプリクラを取りに行くなどして過ごした。
② 満足度 ★★★★★
やはり一生に一度の日なので着ることができて嬉しかったし、良い思い出になった。
振袖には特別な機会にしか着られないので憧れがあった。
子供のころに吟剣詩舞(和の芸事)をしていたが、男性役が多く袴ばかりを履いていたこともあって、特に女性らしく可愛く着飾った振袖姿になってみたかった。
一点不満な点があるとすれば振袖の過ごしにくさ。補正をたくさんしたので、とても暑くて息苦く感じた。
また、しわにならないように汚さないように神経を研ぎ澄ませていたので、脱いだ時には解放感があった。
着崩れない座り方や、お手洗いの振る舞いなども事前に勉強しておくとよいと思った。
③ 振袖の準備
2020年の3月(約10か月前)に振袖の予約を完了させた。
ちょうど良い時期に感じたが、早い人であれば1年半ほど前から。遅い人は年末にギリギリで決めた人もいた。
④ コーディネートのポイント
身長が割と高い方なので、柄がおおらかなものにした。柄の意味も考えながら選んだ。
最近は高身長の方用にもかわいい振袖が増えてきているのでとても悩んだが、レンタル店でパーソナルカラーを参考にしたアドバイスや、帯の結び方についてもアドバイスがあり、好みの振袖を選ぶことができた。
一生に一度なので、悔いのないように自分のこだわりをもって準備した方がいいと思う。
最近は魅力的な振袖が増えてきたが可愛いものは早く予約されてしまうし、準備が遅れて思うような振袖が選べなかった友人も何人かいたので、準備は早ければ早い方がいいと思う。
今回は、2021年1月に成人を迎えられた3名の方にお話を聞きました。
成人式に出席された方、残念ながら出席できなかった方がいらっしゃいましたが、それぞれご家族やご友人と過ごされ、「一生に一度だ」という気持ちで成人の日を過ごされたとのこと。また、振袖選びについても一つ一つこだわって自分に合ったコーディネートを選んだことが満足につながったようです。これから新成人となられる方々にご参考になれば幸いです。
それでは次に、成人式で着る「振袖」がどのようなものなのかを深掘りしてみましょう。
女性の着物は、振袖以外にもありますが、振袖は現在未婚の女性が着る礼・正装用の着物として振袖は成人式では多く着用されています。
振袖といえばその長い袖が特徴です。長い袖はパッと目を引き、所作の美しさを際立たせますが、それにしてもなぜ長くなったのでしょうか?
江戸時代初期に踊りの衣装として振袖が作られました。振袖の長い袖が優雅になびく様子は、街の女性達の心を鷲掴みにしました。江戸時代の若い女性は、普段から振袖をよく着ていたそうです。
上杉惠理子『 世界のビジネスエリートを魅了する教養としての着物』(自由国民社)Kindle 版、2022年、位置No.303/2077
振袖は袖丈が長いことが特徴ですが、実は袖の丈の長さによって3通りの呼び方があります。
振袖の中で、一番袖の丈が短いのが小振袖(こぶりそで)と言われるもので約85~95cmくらいのものをいいます。
次に長いのが中振袖(ちゅうぶりそで) で袖の長さは約95~115cmくらいです。
最も袖が長いものが大振袖(おおぶりそで)で、115cm以上のものを呼びます。
一般的に小振袖や中振袖はアンティーク着物を扱うお店で見かけることが多いのですが、現在、新しく作られる着物は大振袖(115cm以上)が多い傾向にあります。
どの振袖であっても成人式での着用が可能ですが、「本当にこれ、来て行って大丈夫?」と気になる場合は事前に呉服店などにご相談ください。お誂えの場合は、背の高さ、体形や着物の柄付けなどを考慮しながら、ご本人に合った袖の長さを相談することができます。
振袖をレンタルするか購入するかでスケジュールが違います。
購入の場合は夏休みまでに呉服店へ、レンタルの場合は5カ月前までにレンタルの店舗へ。
振袖がどんなものか分かったところで、実際に成人式までにどんな準備が必要かについて表にしてみました。
購入とレンタルどちらにするかによって準備期間の目安が異なります。ぜひご参考になさってください。
① 情報収集
購入もレンタルも情報収集は約一年半前から、自分の好みはどんなスタイルだろう?というのを固めるためにインターネットで検索するなど、少しずつ準備をされておくのをお勧めします。
② 色柄の検討
購入であれば注文前に、レンタルであれば予約前に色柄の検討があります。
新成人の先輩のインタビューにもあったように、振袖選びにおいてはいかに候補の中から自分がこれだ!と思うものに出会うかが大切なようです。それまでは周りのアドバイスを聞くもよし、自分の好みを突き詰めるもよし。時間に余裕があると選択肢も広がりそうですね。
③ レンタル予約・注文
レンタルは購入に比べ、染織や仕立ての時間がない分、最終決定は約5か月前でも間に合います。ただし、レンタルであっても時間に余裕があるほうが、好みの色柄は探しやすくなります。
美容院や写真館の予約もお忘れなく。
④ 返却・メンテナンス
着用が終わったら、レンタルの場合は返却方法を確認して返却。購入の場合はシミなどがないか確認して、次着るときのためにメンテナンスを行いましょう。
※メンテナンス方法は呉服店などにご確認ください。
帯と着物のセット 20万円~
着物 10万円~
帯(※) 10万円〜 (※川島織物製は、20万円〜)
10万円程度~
成人式後に振袖を着る機会がなければレンタルは気軽。
一式購入よりも準備期間が短い。
オーダーレンタルであれば、自分の寸法で最新の振袖を着用可能。
トータルで既にコーディネートされているので細かいコーディネートをあまり考えなくて良い。
色々なプランがあるのでしっかりと確認しましょう。下着など別途購入の必要がないか、撮影プランが付いているのか、など。
着物を購入するの場合 10万円~
帯(※)を購入するの場合 10万円〜(※川島織物製は、20万円〜)
帯や小物の色を変えれば、がらりと印象が変わります。
最近では、レンタルの利用とともに、お母さんやご親戚から譲り受けた着物を着用する傾向があると言われています。
ただ、新成人ご本人としては「自分の着物を選びたかった」「今の流行ではないお母さんのコーデちょっとダサいのでは?」などといった声が聞こえてきそうです。ですが、メリットにも書いたように家族の着物を受け継ぐことや現在では見られないデザインで、新しい着物では体験できない魅力もあります。
ぜひ2つの新旧コーディネートを参考にしてコーディネートを楽しんでみてください。
お母さんのコーディネート(右)
お母さんが20歳の当時流行していた朱色や赤を小物にふんだんに取り入れたコーディネートです。
手をかけた職人技の友禅はとても豪華だし、レトロ感も魅力だけれど、やっぱり少し私らしくコーディネートしたいところ。
私のコーディネート(左)
お母さんの振袖を活かしつつもピンクや黄色といったイマドキなカラーを取り入れて爽やかにまとめた垢抜けコーデ。帯は帯揚げのピンクとも相性が良い紫地でまとめました。柔らかなタッチで神聖な鏡文(かがみもん)を多彩に織った袋帯です。
お母さんのコーディネート (右)
こちらも総絞りの豪華な振袖。今ではなかなか手に入らない技法です。やはり当時の流行は「赤・朱色」。お母さんのときの流行のコーディネートそのままよりは、少し自分らしく変えてみたいところ。
私のコーディネート(左)
紫の振袖に合う、イエローやライトグリーンを基調とした帯を合わせてみました。柄は桜や竹の葉のシルエットに牡丹、桜、菊、撫子、紅葉など春秋の草花を配したかわいらしいデザイン。重ね衿と帯の中の一色をリンクさせることで明るい印象でまとめてみました。
レンタルにするか、購入にするかの検討の際に気になるのが成人式後に振袖は着るのかどうか?ということではないでしょうか。
振袖は主に未婚女性の第一礼装ですので、以下のようなシーン振袖を着ることができます。
成人式後の機会としては、新成人の先輩のように袴を着て出席する卒業式がもっとも多いようです。
このようなシーン以外にも花嫁衣装として活用する方や、訪問着(※)に向いている柄であれば、振袖の袖部分を仕立て直して訪問着にする方もおられます。
※訪問着 着物を広げた時に、縫い目をまたいで一枚絵のようにつながった絵羽模様(えばもよう)になっている着物のこと。その柄付けの量により重めの訪問着、軽めの訪問着などと表現されます。
振袖選びから成人式までの流れをイメージしていただけましたか?
もちろん洋服やスーツで参加するよりも、慣れないため、いろいろな準備が必要となりますが、その分、”着物には周りの方を幸せにする力がある”と、和装に携わるメーカーとして信じています。
ご購入の場合は約一年半前の夏休みくらいから、レンタルの場合は約一年前から情報収集をはじめられると余裕を持って準備ができると思います。特に大きなサイズの方は購入・レンタル共に商品が限られることもありますので、早めにお探しになることをお勧めします。着付けの手配もお忘れなくご確認くださいね。
来年の成人式まで、ご家族と相談し準備も楽しみながら、大切な節目が迎えられることを心からお祈りしています。
「こんなことが知りたい!」というご要望や、ご意見・ご感想などがございましたら、こちらよりお問合せください。
帯に関するお困りごとにつきましても、ご相談をお受けいたします。
「和つなぎラボ」は和装に関わるメーカーとして着物を通じた体験のお手伝いができればと考えています。
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