400年を経て受け継がれる格子文様 𠮷野太夫が愛した𠮷野格子
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夏の風物詩として、日本全国で親しまれている七夕は、織姫と彦星が年に一度会える日として多くの人に知られています。これまでご家庭や地域のお祭りなどで短冊を笹に飾ったことがある方も多いのではないでしょうか? ここでは、由来などの知識や、川島織物セルコンが提案する七夕を家族や友人と楽しむためのアイデアをご紹介します。
目次
多くの地域では7月7日に行われていますが、地域によっては旧暦に基づいて8月に行われることもあります。七夕は、日本の伝統的な行事です。現在ではそれぞれの願い事を短冊に書き、笹に飾るのが最も一般的です。また、各地で七夕のイベントが開催されており、有名なのは仙台七夕祭り(宮城県)などがあります。川島織物セルコンの本社がある京都でも旧暦の七夕にあたる8月に「京の七夕」と銘打って盛り上がっています。
“一年に一度、願いごとをする”という古くから伝わる七夕の節句の意義やいわれを見つめ直し、その伝統を引き継ぎつつ、伝統産業や和装の振興など京都ならではの現代版・七夕まつりとして、京都各地でそれぞれ特色のある「京の七夕」を開催しています。
また、七夕にちなんだ「願いごと」を募集し、寄せられた願いごとは、9月22日(日)の清水寺でのお焚き上げによって天に届けます。
七夕は、中国から伝わった「七夕伝説」と「乞巧奠(きっこうでん)」という儀式が平安時代に日本に伝わったことが始まりとされています。現在のような七夕行事になるまでは長い年月がかかっていますが、中国から伝わった「七夕伝説」は、織姫と彦星の話として知られています。
天空の神「天帝(てんてい)」には「織女(しょくじょ)」という娘がいました。織女は毎日熱心に機(はた)を織っていましたが、仕事熱心ゆえに恋人もいない織女をかわいそうに思った天帝が、天の川の対岸で牛を飼っているまじめな青年「牽牛(けんぎゅう)」を織女に引き合わせました。二人は互いに惹かれあって結婚をしましたが、仲良く過ごすあまり仕事をしなくなってしまいました。怒った天帝は、二人を天の川の両岸に引き離してしまったのですが、二人はとても悲しみ仕事も手につかなくなってしまったため、天帝は年に1度だけ7月7日に二人を引き合わせることにした…というお話です。
また、「乞巧奠」は技巧・芸能の上達を願う行事で、中国では魔よけの風習から始まりましたが、次第に織物を織ることが得意な織姫にあやかって、女性の機織りや裁縫の上達を祈る行事となりました。これが奈良時代の日本で宮中行事として取り入れられ、さらに民間に広がりました。
短冊に願い事をするのは、こうした理由からなのですね。
最近では、男女を問わず、機織りや裁縫に限らずさまざまな事柄の上達を祈るようになっています。そして、ご家庭や地域で季節を感じるイベントとして取り入れられています。皆さんのご家庭でも七夕を通じて日本文化を楽しんでみませんか? それでは、七夕を楽しむためのアイデアをいくつかご紹介します。
短冊飾りをイメージすると、カラフルなものを思い浮かべる方も多いでしょう。これは、中国から風習が伝わった後、宮中の行事として七夕が行われるようになった際の設えがもとになっています。宮中の行事では梶の葉と5色の紙が垂らされ、かつては梶の葉に願い事を書くこともありましたが、後に5色の紙になり、現在のようにカラフルな短冊に願い事を書き、笹に吊るすようになりました。今年は宮中の女官になったイメージで短冊に願い事を書いてみては?
短冊づくりは、子供から大人まで楽しめます。
■短冊づくりの手順
1.材料を準備する
色とりどりの折り紙や和紙、はさみ、のり、ペン、紐などを用意します。
2.短冊の形に切る
折り紙や和紙を縦長の長方形に切ります。大きさは7cm x 15cm程度が一般的です。
3.願い事を書く
切った短冊に願い事を書きます。願い事は自分の夢や目標、家族や友人の幸せなど、何でも構いません。
4.飾り付けをする
短冊の周りにシールやリボンを貼って飾り付けをします。キラキラした素材を使うと一層華やかになります。
5.穴を開ける
短冊の上部に小さな穴を開け、紐を通して結びます。
6.笹に飾る
完成した短冊を笹の葉に結びつけます。家族や友人の短冊と一緒に飾ると、賑やかで楽しい雰囲気になります。
短冊以外にも、七夕にちなんださまざまなモチーフを笹飾りとして作ることができます。
意外に簡単に作ることができ、より華やかな笹飾りになるのでおすすめです。
1. 吹き流し
2. 貝
3. 行灯
4. 天の川
5.輪つなぎ
皆さんは紙衣(※かみごろも)をご存じですか? 紙衣とは、かつて全国各地で見られた、七夕の時期に着物の姿をした紙を飾る習慣です。京都では女の子が「七夕さん」と呼ぶかわいらしい紙の衣を作る習俗があります。「七夕さん」には着物の雛形に木版色刷りした和紙を切り抜き、針で縫って着物に仕上げたものがあり、七夕にちなんで袖や衿から5色の糸束を垂らした優雅なものが作られてきました。また「七夕さんをタンスに入れておくと着物が増える」という言い伝えもありました。
※かみごろも、かみころも、かみこ・・・など呼び方はさまざまなようです。
川島織物セルコンはこれまで帯の文様ぬり絵を定期的に発表してきましたが、今年は京の七夕とコラボレーションして、オリジナルの紙衣として発表することになりました。京の七夕のコンテンツの一つとして、公式ウェブサイトでもご紹介いただいています。また、京の七夕WEBサイトでは、“紙衣ぬりえキャンペーン”を開催予定です。
完成したぬり絵をご自身のInstagramアカウントで投稿していただくと、抽選で素敵なプレゼントが当たるキャンペーンです。詳細は京の七夕公式HPをご確認ください。
「貝文様(かいもんよう)」
貝はさまざまな形やその美しさから古来より文様化され、親しまれています。ハマグリ、ホタテ、ホッキ貝、サザエ、葵貝、キサゴ、ツタノハガイなどのさまざまな貝を、海藻と組み合わせ、涼やかな意匠として描きました。
特にハマグリは、原始時代において重要な食料品で、その殻は首飾りや耳飾りなど女性を華やかに飾る装飾品としても使用されていました。平安時代には「貝合わせ」の遊戯貝となり、ついには公家・武家の嫁入り道具の一つに加えられます。ハマグリは、意匠としても幅広く使われており、こちらのぬり絵のように他の貝と共に文様化されたものや貝桶と一緒に衣装や漆器に描かれたものがあります。
「涼花ちらし(りょうかちらし)」
ナデシコ、キキョウ、ヒョウタン、テッセンなどの夏の草花と波をモチーフとして愛らしい丸文に意匠化した涼やかな文様です。丸文は、始点も終点もなく無限をあらわす縁起の良い文様です。
ナデシコやキキョウは古くから和歌などで用いられてきた夏の草花で、ナデシコの異名である常夏は『源氏物語』の巻名のひとつとなっており、当時の平安貴族に親しまれてきたことがうかがえます。
ヒョウタンは夏に花が咲き、たくさんの実をつけることから子孫繁栄の吉祥文様とされています。ぬり絵の柄では、縁を結ぶという意味を持つツタや吉事が終わりなく続くという意味を持つテッセンと組み合わせ、より夏らしくおめでたい意匠としました。
それでは川島織物セルコン紙衣を実際に作ってみましょう。手順を紹介します。
1.材料を準備する・・・印刷したぬり絵の台紙、色鉛筆、はさみ、のりを用意
2.ぬり絵を塗って、紙衣を切り抜く
3.衿や帯のパーツを貼り付ける(下の手順・紙衣の作り方参照)
笹飾りの準備とともに、七夕をより楽しむため、お子さんに浴衣を着せてあげましょう。普段と違うきれいな浴衣を着ると特別な気持ちになりますし、七夕の習慣を体感することで日本の文化を楽しみながら学ぶことができます。子ども用浴衣は着付けが簡単ですので、ぜひチャレンジしてみてください! それでは、浴衣の準備から説明します。
1.子ども用の浴衣と帯を用意する
身長に合わせて選んでください。帯は過ごしやすく簡単な兵児帯(へこおび)がおすすめです。
(下記の写真は、肩上げ・身上げがされているタイプの子ども用浴衣です。男女とも同じ作りになっています)
2.子どもに着せる
お子さんと一緒に、お父さんお母さんもぜひ浴衣で楽しんでください。これからのシーズンは他にも浴衣で行けるお祭りが目白押しです。地域のお祭りや花火大会などにもぜひ浴衣でお出かけください。
川島織物セルコン「和つなぎラボ」では、織物メーカーとして『着物を身近に感じていただき、着物に親しむ方を増やしたい』という想いから和装に関する情報発信や初心者の方に向けた着物の着方教室を開催しています。
また、幅広く着物を着ていただく機会を作るため、この夏は本社・市原事業所の近隣図書館、岩倉図書館と共同で、親子浴衣着付け教室を開催いたします。
このイベントについて詳しくは、京都市岩倉図書館公式HP内「親子浴衣着付け教室」をご覧ください。
和つなぎラボの“着物の着方教室基礎コース”では、オンラインで開催する自宅などの好きな場所からご参加いただけるマンツーマンの着物レッスンを行っています。「着物を着るのは難しそう・・・」と一歩を踏み出せない方、お出かけまでに不安のある方などのお手伝いをさせていただきますので、お気軽にご参加ください。
また、帯を作るメーカーとして、着物や帯の着方をお伝えするので、参加費は無料です。こちらで何かの販売をするということなどは一切ありません。浴衣や着物、帯など5コースあり、いずれも1回完結(約90分)なので、お好きなコースを選んでご参加いただけます。
詳細は、「和つなぎラボ」WEBサイトをご覧ください。 着物や帯に関するお困りごとやご質問なども承ります。
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