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カーテンを開発するデザイナーの仕事とは? オーダーカーテン開発者の声

カーテンを開発するデザイナーの仕事とは? オーダーカーテン開発者の声

カーテンの質感や高級感、機能性の差はどうやって生まれるのでしょうか?

川島織物セルコンのカーテン開発の流れと、デザイン性×機能性の両立を日々追求しながらオーダーカーテンを開発するデザイナーの声をお届けします。カーテン開発における苦労や開発者の考えを知ることで見方も変わり、カーテン選びも一段と面白くなります。

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カーテンの機能性や質感を決める要素

カーテンに使用されるファブリックは、基本的にポリエステル100%で組成されています。素材は同じはずなのに、なぜさまざまな特徴を持つカーテンが生まれるのでしょうか。

ファブリックの機能性や質感は、使用する糸の種類や太さ、織りの密度、色で大きく決まります。
例えば、ポリエステル繊維にセラミック微粒子(金属酸化物)を練り込むことで、繊維中のセラミック微粒子が太陽光に含まれる赤外線(熱)や紫外線を反射するため、遮熱やUVカットの機能性をプラスできます。また、1本の糸を構成する何本もの細かい繊維の形状を複雑にすることで、光の乱反射の具合が変わり遮熱性を向上させることもあります。

さらに、織りの密度を上げれば、光を通しづらくなり遮光性を上げることができ、逆に密度を下げることで抜け感を演出することもできます。同じ色の糸を使用しても糸の太さや織り方によって、色の見え方が変わり、全く表情の違ったファブリックになります。カーテン生地を見る際は、ぜひ糸種や織り方にも注目してみてください。

「FELTA vol.5」に収録されるカーテン生地

オーダーカーテン開発者の声

カーテンを選ぶ時は、気に入った色やデザインのものに目が行きがちですが、快適に過ごすためには機能性も重要です。カーテン開発者は、日々ファブリックと向き合いながら、デザイン性と機能性の両立を追求しています。2024年10月に新発売したオーダーカーテンシリーズ「FELTA(フェルタ)vol.5」の開発に携わったメンバーの中から、テキスタイル製品開発グループの藤川、橋本、設計開発グループの奥田にインタビューし、高い品質を保つ理由に迫りました。

カーテンシリーズの企画

オーダーカーテンのシリーズができるまでには、企画・開発者、織設計の担当者のほか、各工程の生産現場などたくさんのチームが関わります。まずは、企画・開発チームがシリーズ全体の企画として、コンセプト、アイテム数、価格帯などを検討します。これまでのお客様の声やトレンド、市場の動向といったさまざまな情報を収集、分析し、シリーズを企画していきます。「FELTA vol.5」では、“軽やかさ”と“高機能”を併せ持つ素材の追求が大きなテーマとなりました。

シリーズ全体の企画の方向性が決まると、次は商品ごとの詳細の企画に進みます。企画・開発者と織設計の担当者で相談しながら、商品それぞれのテーマ、素材感、色味、機能性を検討し、イメージ画像や生地サンプルを収集して、試作のための指示書(織物の設計図)を作成します。その後、各生産工場を通じて試作を繰り返しながらイメージに近づけていきます。
藤川、橋本は、商品企画の段階からプロジェクトに参加しました。

軽やかな遮熱カーテンをつくる難しさ

藤川は、主にドレープカーテンの企画・開発を担当しました。

藤川(ドレープカーテン企画・開発)

——重たい印象を受けやすい遮光カーテンで“軽やかさ”を表現するのに苦労しました

ドレープカーテンの代表的な性能の一つである遮光。カーテンの遮光性を決める主な要素は、織りの密度、糸の色、種類です。光をどれだけ遮れるかがポイントとなるため、織りの密度は高く、糸の色はより濃く、ボリューム感のある糸が必要になります。それらを兼ね備えたカーテンはもちろん暗く重たい印象を受けやすくなります。しかし、今回は“軽やかさ”がテーマ。「どの色選んでも遮光1級」という無理難題を掲げ、カラーバリエーション豊富な商品の開発を進めました。何度も糸の種類や色味、織りの密度の修正を繰り返し、ベージュ系のカラーを中心に何色もレパートリーのある商品を作ることができました。

ちなみに、遮光1級判定は99.99%以上、一般的には99.985%以上が遮光1級と判定されます。当社は自主的に厳しい判定基準を設定し、99.991%以上でないと遮光1級とは判定しないようにしています。このほんの少しの差が開発者泣かせで、クリアするのが本当に大変でした。

左)FT7343-7346:どの色を選んでも遮光1級
右)FT7376-7380:遮光2級、保温性Aの風通(ふうつう)織りジャガードカーテン

美しい色と透け感を追求したカラーレースカーテン

一方、レースカーテンの企画・開発を主に担当した橋本。オフシェイドや眺望性、遮熱、防炎などの機能性と併せ、色柄や素材感の追求にこだわりました。

橋本(レースカーテン企画・開発)

——薄地のレースカーテンは、環境によって色の見え方が変化するので、色味調整に苦戦しました

レースカーテンは薄く、デリケートな素材のため、若干の色や素材の違いで大きくイメージが変わってしまいます。また、光の当たり方や透かし方、重なり方によって毎回違う色のように見えるので、色味の調整には苦労しました。特にベージュやグレーなど濃度調整が難しい色も、試作を繰り返し、きれいな発色を目指しました。何度も試行錯誤したからこそ、どの色も、どんな環境で見た時も美しいレースカーテンが出来上がったと思います。

また、レースカーテンの透け感は実際にお部屋にかけてみないとなかなか分かりづらいため、透過性に新しい指標を設けました。「昼オフシェイド」「夜オフシェイド」(室外からの見えにくさ)、「眺望」(室内からの景色の見えやすさ)などを新たにランク設定しています。選ぶ際の参考にご覧ください。

左)FT7570-7574:カラーの遮熱レース
右)FT7540-7545:透明度が高く外への抜け感が美しいカラーレース

京都にある川島織物セルコン本社 市原事業所内の自社工場では「FELTA vol.5」の生地を製作しています。遮光1級のカラーカーテン生地や、軽やかなテクスチャー感を「からみ織り」によって表現した生地、生地を重ねることで空気層を含んだ「風通織り」で柔らかな風合いと機能性を両立した生地など、難易度の高いテキスタイルの製作を行っています。

高い品質を保つための挑戦

奥田は市原工場にて、織設計を担当しています。企画者から受けた要望やイメージを形にします。

奥田(織設計)

——「川島織物セルコンの商品=品質が高い」という信用こそが当社最大の強み

商品の企画書やイメージに近いサンプルを参考に、糸種、織り方、密度、色などを選定して試織し、企画者に提案をします。お客様のニーズを調査、分析している企画者の意見を、お客様の声そのものだと捉えて、共感し尊重するようにしています。また、ただイメージを表現するだけでなく、より美しい織物ができるように工夫し、生産効率の向上も考慮しながら、織り方やデザインの微調整を行います。

何より頭を悩ませるのは、当社の品質基準の厳しさです。より厳しい品質基準をクリアしようとすると、その分デザインの幅は狭まり、企画イメージを表現する難易度もぐんと上がります。それでも「川島織物セルコンの商品=品質が高い」という信用こそが当社最大の強み。品質もデザインも一切妥協していません。

左)FT7014-7016:陰影の美しいからみ織りのレースカーテン(市原工場製)
右)FT7300-7308:ブークレ調糸を使った遮光カーテン(市原工場製)

オーダーカーテンシリーズ「FELTA vol.5」のご紹介

藤川、橋本、奥田らが開発に携わった、オーダーカーテンシリーズ「FELTA vol.5」が2024年10月より発売されました。
「FELTA」は、当社のオーダーカーテンシリーズの中で唯一、全点(イ)ラベル防炎に対応するシリーズです。このたび、素材表現と機能性により特化した「FELTA vol.5」として、大きく生まれ変わりました。
今回のリニューアルコンセプトは「新時代の空間マテリアル “new era of : FELTA”」。軽くて薄い、高機能なマテリアルを追求し、主軸の色調は低彩度のグレー系から、温かみのあるベージュ・ブラウン系のカラーにシフトしました。また、カラフルなインテリアトレンドにも対応するため、豊富なカラーバリエーションを展開しています。
「FELTA vol.5」には、質感にこだわった洗練されたデザインと、快適さを追求した高い機能性を兼ね備えるカーテンが数多く収録されています。ぜひ、ご自身の好みとお部屋の環境に最適なカーテンを探してみてください。

詳しくは、FELTAブランドサイトよりご覧いただけます。

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