夏休みの自由研究に! 100均で揃う材料で簡単ハンカチ染めに挑戦 染色の仕組みを学ぼう
- ORIMONO
待ちに待った夏休みがやってきました! 山? 海? 川? 花火? 読書? ゲーム? プール? 子供たちにとって楽しみでいっぱいですね、宿題さえなければ(笑)。
夏休みの大きな宿題「自由研究」のアイデアとして織物屋からのご提案、食品トレーで簡単につくれる織物コースターを紹介します。
目次
自由研究は、その名の通り、自分でテーマを決めて自由に取り組むことができる課題です。お子さん自らが問題に取り組む、とても良い機会になります。しかし、なかなかテーマを決めることができず、夏休みの終わり頃まで手をつけられていなかった・・・!なんてこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は自由研究のアイデアとして、織物メーカーである川島織物セルコンから、食品トレーを使った織物コースターの作り方を紹介します。その名も、「織ジナルコースター」! 手織りのコースターは手作り教室などで大人向けにも多く紹介されていて、子供にできるかなあ・・・というイメージもあるかもしれませんが、織りやすい基本の織り方なら小学生でも大丈夫。頑張って練習すれば、糸の種類や太さを変えるだけでバリエーションも無限大、大人も顔負けの食卓を彩る素敵なコースターが出来上がりますよ。
さぁ、あなただけのコースターを作ってみましょう!
今回紹介する織ジナルコースターで使用するのは、普段は捨ててしまう食品トレーや糸。その他の材料や使う道具も家にあるものや100円ショップで簡単に揃えることができます。
また、製作時間も基本のコースターであれば、約2時間~4時間(※)と、1日頑張ればできます。
※小学4年生の課外学習で実施時の平均作品完成時間より算出
では、さっそく織ジナルコースターの作り方を見ていきましょう。
今回は食品トレーを使って、9㎝ × 9㎝ のコースターを作ります。動画でも作り方を解説していますので、そちらも参考にしてみてください。
※対象:小学4~6年生以上
まずは、上記のものを用意してください。糸は好きな種類、色をお使いいただければよいのですが、今回は、基本のコースターとして、織りやすい毛糸とワックスコード(アクセサリーを作るときなどに使う)を使用します。慣れてきたら、ビニールテープやもこもこの毛糸などで作ってみてもおもしろいですよ。
まず、食品トレーに糸を巻きつけていきましょう。
① ワックスコードを食品トレーの裏面にテープでとめる。
たるまない程度に糸をピンと張り、7㎜くらいあけて12回食品トレーに巻いていき、きれいにそろえる。
② ワックスコードを巻いたら、巻き終わった部分を食品トレーの裏面にテープでとめ、ワックスコードをハサミで切る。
※ワックスコードがピンと張っていることを確認してからテープでとめてください。
※けがをしないように糸を切るときは充分に気をつけましょう。
③ ワックスコードの真ん中に、1本目、3本目、5本目・・・と1本飛ばしで印をつける。
※黒色など色の濃いワックスコードを使うときは、白色の油性ペンで印をつけるなど、印がわかりやすいようにしてください。
織物は、2種類の糸の交わりでできています。それぞれの糸を「タテ糸」と「ヨコ糸」といいます。今回は、この食品トレーに巻いたワックスコードを、「タテ糸」として使用します。(以下、タテ糸とします。)
④ 名前ペンに糸を巻きつける。
1か所に集中して巻かず、全体に巻きつける。巻きすぎると、あとで名前ペンがタテ糸に通らなくなってしまうので注意。
※キレイに巻く必要はありません。1か所に集中しないように、1mくらいぐるぐると巻いていきましょう。
⑤ 糸を巻き終わったら、ハサミで糸を切る。
名前ペンに巻いた糸を「ヨコ糸」として使用します。(以下、ヨコ糸とします。)
このヨコ糸を食品トレーに巻いたタテ糸に通し、コースターを織っていきます。
では、いよいよ織り方を紹介します。
今回は、3色の毛糸を使用します。
それぞれの色の毛糸を、タテの長さが3㎝くらいになるまで織っていきます。
① 定規を使い、先ほど印をつけたタテ糸をすくい上げ、定規を立ててすき間をつくる。
※印をつけていないワックスコードをすくい上げていないか確認してください。
② 定規の手前のすき間にヨコ糸を通す。
③ 定規を手前に引きながら通したヨコ糸をまっすぐに整える。その後、定規を引き抜く。
④ 印をつけていないタテ糸を定規ですくい上げ、定規を立ててすき間をつくる。
※印をつけたタテ糸をすくい上げていないか確認してください。
⑤ ②の手順と同様に、定規の手前のすき間にヨコ糸を通す。
※このとき、糸を引っ張りすぎないように注意してください。
⑥ ③の手順と同様に、定規を手前に引きながら通したヨコ糸をまっすぐに整える。その後、定規を引き抜く。
⑦ ①~⑥の手順を繰り返し、織り進める。
※ヨコ糸を整えるとき、タテ糸が見えなくなるくらいまでヨコ糸同士のすき間を詰めながら織り進めてください。
※すくいあげる糸をまちがえていると、ヨコ糸を通しても、下の写真のように糸が抜けてしまいます。その場合は違う方のタテ糸をすくいましょう。
織り進めていると、3㎝くらいのところで1色目の糸が織り終わります。また、途中で糸がなくなりそうなときもあるでしょう。ここでは、ヨコ糸の変え方を解説します。
① 下の写真のように、ヨコ糸を端まで通して外側に少し出す。
② ヨコ糸が出ている方向から、新しいヨコ糸を通して再び織り進める。
※印をつけたタテ糸で終わっている場合、印のないタテ糸から始めます。印のないタテ糸で終わっている場合は、印をつけたタテ糸から始めてください。
① 3色の毛糸を通し終わったら、織り終わり。タテとヨコが大体同じ長さになるまで織り進める。
② 食品トレーを裏返し、ゆっくりとセロハンテープをはがす。
③ 食品トレーの真ん中で、タテ糸をハサミで切る。
④ コースターを食品トレーから外し、隣り合うタテ糸を2本1組で結ぶ。
きれいに結ぶためのポイント
タテ糸をきれいに結ぶためには、できるだけヨコ糸の近くで結ぶことがポイントです。
① ヨコ糸の近くで大きな結び目を作る。
② タテ糸の端と結び目を軽くつまみ、上下に引っ張りながら結ぶ。
※引っ張りすぎると糸が抜けるので注意してください。
⑤ 不要な糸をハサミで切る。
タテ糸を好きな長さに切る。余っているヨコ糸は端のギリギリのところで切る。
⑥ 完成!
基本のコースターの織り方を解説しています。
今回は、食品トレーを使用するコースターの織り方を紹介しましたが、織り方を応用すれば、コースター以外にもこんなにすごい作品も作ることもできます。
材料や道具は、コースターと同じように、食品トレーや段ボールなど家にあるもの、100円ショップで買うことができるものを使いました。基本の織り方からタテ糸を巻く回数やヨコ糸の通し方を変えてみたり、もこもこした毛糸やキラキラ糸を使ってみるなど、自由な発想で楽しく製作しました。
小学生の自由研究として自分自身のオリジナル作品をつくることはもちろん、親子で一緒に作ったり、おうち時間の楽しみとしても、おすすめです。
海の生き物を織り、透明のケースや織物で作った壁紙を貼り付けた段ボールに吊るしました。
お魚やタコ、イカなどの作り方は簡単! ほとんど織ジナルコースターと同じ作り方です。違うのは、食品トレーから外し、タテ糸を2本1組で結び終わった後の工程から。余ったタテ糸を切らず、そのままタテ糸を束ねて丸結びし、少しだけ長さを残して切るとお魚に、すべて切るとタコやイカになります。
吊るし方は簡単。完成した海の生き物の上部に透明の糸(テグス、釣り糸など)を通し、天井にテープで止めました。
織物は少し広げるとタテ糸とヨコ糸の間にスキマができますので、そこに透明の糸を通せば、お魚たちが破れる心配もありません。
ちょっとした小物を入れられてお出かけに便利なポシェット(サコッシュ)です。スマホも入ります!
基本のコースターの作り方で、9cm幅の生地を30㎝ほど織り(9cm × 30cm)、半分に折り畳み、周りをかがり縫いしました。ボタンをつけて閉じることができるようにし、肩紐をつければちょっとしたお出かけにも使うことができます。
100円ショップで見つけたもこもこした毛糸も使ってみました。2種類のヨコ糸を交互に通したり、ヨコ糸を通す間隔を変えてみるなど、糸の通し方も色々試してみました。
私たちが着ているシャツやブラウス、ズボンやスカートなどの衣服、家の窓にかかっているカーテン、手をふくためのハンカチなど、私たちの生活にはたくさんの織物があります。織物は「衣食住」の大切な要素として私たちの生活に密接に関わっているものなのです。
では、織物はいつごろからあったのでしょうか?
歴史図鑑などを見ると、人類が誕生して間もないころから衣類を身に着けていることがわかります。
織物は、世界では旧石器時代(約3万8千年前から1万6千年前)から作られていたといわれています。日本で織物がいつ頃から作られていたか、はっきりとした記録はありませんが、弥生時代の遺跡から、織物を織る「機(はた)」という道具が見つかっており、その頃から織物が製作されていたのでは、と考えられています。はるか昔から、人類の生活には織物が存在していたことが分かります。その後も人々の衣服などとして織物はつくられ、今も私たちの生活で使われています。
織物には様々な織り方があり、それを使い分けることによって、丈夫な織物や柔らかくツヤツヤした織物など、違う特徴を持った織物をつくることができます。
今回コースターづくりで紹介した織り方は、タテ糸とヨコ糸が交互に交わる最も基本的な織り方で、「綴織(つづれおり)」といいます。ヨコ糸をタテ糸に通した後、定規を使ってヨコ糸を整えたように、ヨコ糸同士のすき間を詰めることでタテ糸が表には見えなくなり、模様を表現することができる織り方です。
衣類に織物が多く使われていると紹介しましたが、「編み物」という言葉を聞いたことはありませんか? 実は衣類には編み物も多く使われています。セーターやトレーナー、Tシャツなどがそうです。
では、「織物」と「編み物」に違いはあるのでしょうか。
織物はタテ糸とヨコ糸を交差させてできているのに対し、編み物は、糸で作られたループを連結させて作られています。
織物の方が丈夫で形状を保ちやすく、編み物の方が保温性や伸縮性がありしわになりにくいという特徴があります。
織物と編み物は、作り方が違い、それぞれを目的によって使い分けて、私たちの生活を快適にしてくれています。
また、「編み物」も織物と同じく、旧石器時代から作られていたといわれています。糸だけでなく、わらや竹を素材とし、かごなどの生活道具を編んでいたようです。しかし、日本では布地や衣服を編んでつくることはほとんどありませんでした。安土桃山時代の1592年ごろに日本にやってきたポルトガル人やスペイン人によって手編みの靴下などが伝えられ、それ以降、手編みの衣服などが、盛んにつくられるようになりました。
今回は、毛糸とワックスコードを使ったコースターの作り方を紹介しました。織物がどのように作られているのか、体感することができたのではないでしょうか。基本の織り方をマスターすることができたら、色々なタテ糸とヨコ糸の交わり方でコースターや自分なりの作品を作ってみることも楽しいです。
実際に織ってみると、どのようにできるでしょうか。予想を立てて作ってみてください。
今年の夏休みは、織物の魅力に触れてみませんか。
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もっと織物を知りたい時は
織物ができるまでの工程をを紹介しています。
・織物ができるまで 1 デザイン画をつくる
・織物ができるまで 2 設計する
・織物ができるまで 3 糸を染める(機械染め)
・織物ができるまで 4 糸を染める(手染め)
・織物ができるまで 5 織る