帯の種類 袋帯の基礎編 帯メーカーが徹底解説!
- OBI
着物にはに欠かせない「帯」。実は一口に帯と言っても、着用のシーンによっていくつかの種類があります。近年は目にすることも少なくなった豪華な丸帯から、日常でカジュアルに締める半幅帯まで、帯の種類についてご紹介する『帯講座 初級編』です。
皆さんは「帯」ときいてどんな形を想像されますか? 成人式で女性が華やかに結んだ袋帯でしょうか。それとも男性が結ぶ細い角帯でしょうか? 同じ帯という名前でも、形はさまざまです。
今回は、長さや幅の違いなどについてまとめてみました。
目次
まずは、上の写真にある帯の呼び方です。
左から時計回りに ① 丸帯(まるおび)、②袋帯(ふくろおび)、③なごや帯、④半幅帯(はんはばおび)、⑤角帯(かくおび)と呼ばれています。
ちなみに、これらの帯は形状は、図で示すとこのような感じになります。
帯の種類 | 形状と仕立て方 |
---|---|
丸帯 | 一番幅が広く大きな帯です。 織り上げたままでは着用できないので上の図のように点線部分で半分に折って仕立てられます。 |
袋帯 | 丸帯の半分の幅で織られます。 仕立てた状態も、少し短くなりますが長方形のままで、形は殆ど変りません。 |
名古屋帯 | 仕立て方が色々ある帯です。 図の「なごや仕立て」の場合、手先(※1)からお太鼓(※2)までの部分は半分に折って仕立てます。 |
半幅帯 | 袋帯の半分の幅で織られ、仕立てた状態でもまっすぐ長方形です。 |
角帯 | 半分に折って仕立てます |
※1 手先・・・体に巻き始めるほうの先端
※2 お太鼓・・・背中部分の柄
製造メーカーによって寸法は異なる事もありますが、川島織物セルコンではこのように製造しています。
それでは、それぞれの帯の特徴をご説明しますね。
丸帯が使われるようになったのは江戸時代の中期で、戦前までは最も格の高い第一礼装の帯として用いられてきました。丸帯はどのような結び方をしても表に柄が出る、とても豪華な帯です。現在では一部のフォーマルシーンで用いられています。
丸帯は巾 約68cm 長さ約448cmで織られ、仕立てると表裏ともに柄があります。
今日では振袖に使用される事がほとんどです。
袋帯は丸帯を簡略化し、重量を軽くした帯です。袋状(筒状)に織られていたので袋帯と名付けられました。
基本的には結婚式、披露宴やパーティなどのフォーマルシーンで着用できる帯で、合わせる着物には振袖、留袖、訪問着、付け下げ、色無地など柄によって幅広いシーンに合わせられます。金銀糸の入らない「しゃれ袋帯」では小紋や紬に合わせる場合もあります。
巾 約31cm 長さ 約448cmで織られ、表には柄があり、裏は無地になっています。締めると二重太鼓になり、用途も広い帯です。
袋帯がフォーマルシーンをメインに活躍するのに対して、なごや帯はお稽古やちょっとしたお出かけなどカジュアルシーンで活躍する帯です。色無地、小紋や紬の着物に合わせることが多いですが、すっきりとした軽めの柄の付け下げなどに合わせ、改まった雰囲気に装って楽しむこともできます。袋帯より短く軽いので、袋帯より手軽で、気軽に使いやすい帯です。
なごや帯は、大正時代に名古屋で考案されたといわれていますが、広く使われるようになったのは昭和に入ってからのこと。
なごや帯には「九寸なごや帯」と「八寸なごや帯」があります(写真は九寸なごや帯)。仕立てたら同じサイズになるのですが、製造方法の違いからこのように呼ばれていて、 九寸なごや帯は、織りあがった時の巾が 約34cm=九寸であることから、九寸なごや帯と呼ばれます。対して八寸なごや帯は巾 約30cmで織りあげられるため、八寸なごや帯と呼ばれます。
当社は九寸なごや帯の生産が主流です。
※一寸=3.78cm ( 尺には曲尺/かねじゃく と 鯨尺/くじらじゃく があり、和装関係は一般的に鯨尺を使用。曲尺:1寸=3.03cm 鯨尺:1寸=3.78cm )
なごや帯よりもさらに普段着として、小紋をはじめとする様々な素材のカジュアル着物に締められます。また、色々な結び方の工夫ができるのも半幅帯の特徴で、最近では様々な結び方に対応した長さや形の半幅帯も登場しています。浴衣に着用されることが多い帯ですが、最近は日常着などにも通年着用されています。
巾約16.5cm、長さ約400cmで織られます。
男帯(男性用の帯)は、兵児帯(へこおび)と角帯に分類されますが、兵児帯が普段着(紬や浴衣)などに用いられるのに対し、角帯は袴下などや改まった時に着用します。現在では、角帯も浴衣や普段着に着用されることが増え、基本的には男性の着物すべてに角帯を合わせることができますが、こちらも柄や素材などによって使い分けることが多いようです。男性は袴を着用することもありますが、袴の下にもこの角帯を締め、その場合は「袴下(はかました)」と呼ばれることもあります。
巾 約21cm 長さ約440cmで織られます。
それぞれの帯についてご説明してきましたが、最後に “締めた時にどのような違いがあるのか?” が見た目だけではわかりにくい袋帯となごや帯の違いについて、写真で比較してみました。
左が袋帯、右がなごや帯で、両方ともお太鼓結びにしています。姿はほぼ同じですが、よく見ると太鼓(背中の部分)が袋帯の場合は帯が2枚重なっていますが、名古屋帯の場合は1枚になっています。この帯が二重になっているかいないかが、一重太鼓・二重太鼓の名前の由来になっています。
ここまでのご説明を、表にしてみました。ご参考になさってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後も、きものを着て出かける場所のご提案や着物にまつわる手作り小物などをご紹介していきたいと考えています。
また、「こんなことが知りたい!」というご要望やご感想などがございましたら、是非、お寄せください。
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