帯の種類 袋帯の基礎編 帯メーカーが徹底解説!
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前回ご紹介した「帯の種類 袋帯の基礎編」では、袋帯の形やコーディネート、歴史などをご紹介しました。
今回は実際に、結び方の種類やお手入れなどについてご紹介します。
袋帯は名古屋帯に比べて長いため、結び方のアレンジも豊富。基本となる結び方や変わり結びの基本パターンを紹介します。また、締めた後のお手入れについてもご案内しています。
目次
結び方は大きく分けて基本の「お太鼓結び」と華やかな「変わり結び」に分けられます。
結び方の解説はYoutubeなどで動画が数多くアップされていますが、巻く方向や細かな作業の手順が少しずつ変わっています。帯結び初心者の方から「いろんな動画を見てみたけどどれが正しいの?」というご質問をいただくことがあります。答えは「どれも正解。」なんです。着付け師の方がそれぞれご自身がやりやすいと思う結び方を考えられたり、地域やご家庭に伝わるものがあったり、多様性があるのが今の状況です。
ですので、全く帯を結んだことがないという方には、ぜひどれか一つの結び方をまずはマスターすることをおすすめします。
それではお太鼓むすびと変わり結び。どんな形なのか見ていきましょう。
太鼓結びは定番の帯結びです。背中に帯枕をあて、後ろから見ると帯は長方形になっています。
前回の袋帯の際にもあったように名古屋帯でもこの「お太鼓」と言われる形に結ぶことができます。太鼓結びという名前は東京・亀戸天神の「太鼓橋」に由来し、江戸時代に亀戸天神(東京都江東区)の太鼓橋の完成記念のお祭りで、深川の芸者が結んだ形が原型となったそうです。
太鼓結びもまず手先を右肩に掛けるのか、左にかけるのか・・・。反時計回りに体に巻くのか時計回りに巻くのか。など、着る人によって違います。
また、同じ「太鼓結び」でも名古屋帯と袋帯の長さの違いから、着付け方が違います。
太鼓結びがスタンダードな結び方である一方で、変わり結びは華やかな場で見かけることが多い帯結びです。成人式のような場面では振袖にバリエーションに飛んだ「変わり結び」を見ることができます。特に最近は凝った変わり結びが人気です。
変わり結びはとても華やかですが、自分では結びにくいので、お太鼓結びとは違って他の人に結んでもらう必要があります。そのため、毎年の成人式では各地の着付け師が大活躍。成人式の日は早朝からスタートして5人以上の着付けをされる方もいらっしゃいます。
着付けのプロがそれぞれ開発した結び方が存在するので、ちょっとしたアレンジもカウントすると、100を超える結び方が存在します。ただ、アレンジの基本系は3つとされているのでここでは変わり結びの基本系3つと、その特徴についてご紹介していきましょう。
こちらは古典的な結び方で、皇室の女性が結納の際に結んでいる姿などでお馴染みです。
名前の由来は、寒い冬に羽に空気を入れ、寒さをしのぐ雀の形から付けられています。正統派で古典的な雰囲気になる帯結びで、お太鼓結びの様にたれがあることが特徴です。
お太鼓の大きさを変えることでさまざまな体型の方にも似合うと言われ、写真のようにタレを少し斜めにするなどのアレンジがあります。
もともとは江戸時代の大奥の御殿女中が結んでいた結び方で、斜めのラインが強調されるので大胆な印象の後ろ姿になり、背の高い方にもよく似合います。立体感が出るので華やかになりますが、結ぶと帯の柄はあまり出ないので、出したい柄がある場合は他の結び方の方が良いかもしれません。
シンプルな着物によく合うと言われています。
文庫はもともと武家の女性の結びです。
凛とした帯結びで花嫁衣装にも結ばれることが多いですが、蝶のような左右のたれが特徴で女の子らしい、かわいらしいというイメージもあります。
それぞれの結び方に帯のひだの取り方や羽の枚数のアレンジが加わって現在もたくさんの結び方が開発されています。それに伴って帯メーカー各社もよりアレンジがきくように長さの長い帯を作る傾向にあります。
袋帯は変わり結びのように他人に結んでもらう場合もありますが、着用した後のお手入れはご自分でなさる方も多いと思います。
ここでは締めた帯のお手入れについて簡単に紹介します。
着物も同様ですが日陰で数時間ほど風を通し、湿気 を飛ばしてあげることで、箪笥に収納した後のカビを防ぐ効果があります。
結んだ状態で表に出ていた部分には気づかないうちに汚れがついてしまっていることがあります。次回着ようと思った際に、シミや汚れを発見してがっかりすることがないように、収納前にチェックしてみましょう。
以下はお太鼓むすびで汚れやすい部分です。
赤で囲んだ部分を中心に見ていきましょう。いずれも着用時に振れやすく、汚れが付きやすいとされています。
ただし、変わり結びは特に羽がたくさんあって複雑に結んであるので、お腹からタレまで全体的にチェックしておきましょう。
着物用の乾燥剤や防虫剤を入れ、ウールのような虫のつきやすい素材とは別に保管することをお勧めします。乾燥剤などは、長時間にわたって直接着物や帯に触れると変色する場合もありますので、注意書きをよくご確認の上、ご使用下さいい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後、帯のお手入れについてはもう少し詳しく記事にしたいと思っています。
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