繊維上の特定のウイルスの数を2時間で約99.9%以上低減する「抗菌加工」「抗ウイルス加工」のしくみ
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新型コロナウイルスの発生により、抗菌・抗ウイルスへの興味関心が高まっています。
繊維上の特定のウイルスに効果を発揮する川島織物セルコンの「セリスト加工」について紹介します。
目次
光触媒とは、「太陽や蛍光灯などの光が当たると、強力な酸化力が生まれ、有機化合物や細菌などを分解させる触媒機能をもつ」物質のことで、代表的なものに酸化チタンがあります。1972年に本多健一・藤嶋昭という日本人科学者により発見され、専門家の間では、「本多・藤嶋効果(ホンダ・フジシマ効果)」と呼ばれることもあるそうです。
光触媒は、電力等を使わず紫外線の力のみで半永久的に効果が持続するなどの利点を活かし、様々な所で活用されています。高速道路の防音壁に用いて大気中の有害物質を軽減したり、ビルの外壁に塗布し汚れを付きにくくする、トイレの陶器の汚れ防止に用いる・・・等々。
この効果を、繊維(ファブリック・生地)で実現したのが川島織物セルコンの「セリスト加工」です。繊維に付与した光触媒機能が、繊維に付着した特定のウイルスを減少させたり、悪臭の原因物質やVOC(揮発性有機化合物)などを分解・軽減したりする効果が期待できます。
室内には、クッション、ソファ、椅子張り、壁紙など何らかのファブリックがあることが多いのではないでしょうか? 中でも窓辺にかけられるカーテンは、直射日光が当たっていなくても、雨天・曇天の日でも、一定量の紫外線は窓から入ってくるため、紫外線による効果が期待できます。
光触媒は紫外線があたることで効果を発揮しますので、窓辺につるすカーテンに紫外線によってウイルスを削減させる「セリスト加工」の機能があれば、カーテンを清潔に保つことができ、クリーンな環境づくりにお役立ていただくことが出来ます。
セリスト加工を施した繊維は、どの様に有機物を減少させていくのでしょうか。
繊維に付与/塗布された光触媒(酸化チタン)が、太陽や蛍光灯などの光(紫外線)を浴びると、空気中の水と酸素から非常に反応性が高い物質(活性酸素種)を発生させます。この非常に反応性が高い物質が、悪臭成分・雑菌・ウイルス等を分解していき、最終的には水や二酸化炭素等になります。
この分解作業が繰り返されることで、繊維が清潔に保たれます。
セリストは、大きく3つの効果があります。
■抗菌・抗ウイルス性
繊維上の特定のウイルスの数を減少させる
■消臭
アンモニア・硫化水素・アセトアルデヒト等、悪臭原因物質を分解する
■VOC軽減
ホルムアルデヒド・トルエン等VOC(揮発性有機化合物)を分解する
例えば、カーテンに付着したウイルスは、最大で1週間ほどそのまま残っていると言われていますが、セリスト加工カーテンであれば、約1日で繊維上のウイルスの数を約96%以上低減させる事が確認できています。
また、セリストの原料となる光触媒は、自身は変化せず化学反応を促進させる物質(いわゆる”触媒”)なので、無くなったり減少したりせず、継続的に力を発揮する ことも大きな特徴です。
では、セリストは具体的にどのような物に効果を発揮するのでしょうか。
などについて有効であることが確認できています。
またこのたび、新たに別タイプのウイルス株に対する検証を行い低減効果を確認、朝夕の比較的弱い光でも効果を発揮することがわかりました。(※)詳細はこちら
「セリスト®」加工の効果は繊維上でのみ発現するものであり、空気中に浮遊するウイルスには効果はおよびません。また、病気の治療や予防を目的としてはおらず、ウイルスの働きを抑制するものでもありません。
該当商品は、2001年の発売以来20年以上の販売実績を有し、現在、カーテンを中心に200以上の商品を展開しています。
光触媒には、まだまだ可能性があります。セリストは、光触媒の特性(有機物を分解する)を活かし、時代のニーズにあった商品展開を行っていく予定です。
川島織物セルコン 商品本部研究開発室長 早瀬 重喜
商品本部研究開発室 蒲田 恒彦
― シックハウス対策、ペット臭対策に加え、特定のウイルスにも効果があった。
まず初めに再度ご説明したいのは、セリストは、セリスト加工がなされた繊維の上についた臭いや菌を分解する性質であって、部屋中の空気をクリーンにするものではありません。ご理解をどうぞよろしくお願いいたします。
セリストは、光触媒に可能性を感じ、約20年前に開発した技術ですが、VOC (揮発性有機化合物) 、ペット臭などにも効果があることがわかっており、様々な時代の様々なニーズにあった効果を発揮してくれています。とてもバランスも良く、まだまだ可能性のある技術だと考えています。 太陽光を活用し機能を発揮、触媒作用により半永久的に効果は持続するサスティナブルな技術です。
― 布も分解してしまう光触媒をどう使うか?
光触媒は、「有機物を分解する」という性質があり、“有機物=菌や臭いの成分” を分解し、水と二酸化炭素等に変えてしまいます。しかし、布も有機物です。ということは、繊維に光触媒が付くと、繊維の分解も始まってしまいます。また、光触媒を布に塗布する場合、光触媒を繊維にひっつける糊の機能を果たすものも、通常は有機物です。布や糊を分解しないようにすることが、開発の大きなポイントでした。
セリストはこの糊の機能を果たすものに無機物を採用することで、この問題をクリアしました。無機物の糊で酸化チタン(光触媒)をくるみ、そのそれが布上に載っているようなイメージです。設計をする際には、かなりの検証を重ねて繊維加工に適した大きさに粒子のサイズをナノレベルでコントロールしました。
また、加工方法についてもかなりの検証を重ねました。
― ファブリックの風合いも大切にしたかった。
川島織物セルコンは、ファブリックのデザインはもちろん、風合いをとても大切にしています。その風合いも大切にするために苦労しました。
酸化チタンは、多くつけると白く粉が吹いたようになり、風合いを損ねてしまいます。逆に量を減らしすぎると、効果を発揮しなくなってしまいます。付着させる量を詳細にコントロールしました。
― セリストへの期待
セリストは20年間使用されてきた サスティナブルな 機能です。しかし、VOC → ペット臭等 → 抗菌・抗ウイルスとセリストの挑戦相手は変わってきています。
これから、どんな機能が必要な時代がやってくるのか分かりませんが、時代に合わせて活用していければと考えています。
セリスト加工対象品 セリスト加工を施した商品一覧
抗ウイルス対策セリスト加工カーテン(動画)