AKIKOAOKI青木明子

万華鏡のように色が変わり
反射する織物ビロード × 引箔

引箔(ひきばく)と紋(もん)ビロードという織物技術を併用することで、“見る角度で色が変わる”と“透明感ある反射”という、二つの課題を両立させました。透明感を出すために、レンズシートを採用。美しく見える組織・色を実現しました。

使用織機
シャトル力織機、 シャトル手織機

青木明子(あおきあきこ)

1986年東京都生まれ。 2009年女子美術大学ファッション造形学科卒業後、 ロンドンの Central Saint Martins にてファッションを学ぶ。帰国後コレクションブランドでアシスタントを経て、2014年よりウィメンズウェアブランド“AKIKOAOKI”をスタートする。同年10月、Mercedes-Benz Fashion Week TOKYOにて2015SSコレクションを発表。2018年2月、LVMH Young Fashion Designers Prizeショートリストにノミネートされ、同年11月には毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞、『VOGUE JAPAN』が国内外のファッションシーンで活躍する新世代女性を応援するために贈る「Rising Star of the Year」を受賞。

Comment

今回の作品は、川島織物セルコンさんの工場を実際に拝見するところから始まりました。素晴らしい沢山の匠の技の中でも、その中で一際、自分の目をひいたものがビロード織でした。ビロードは職人日本古来の伝統的な柄の中に、一部、周りとは違った立体的なテクスチャーが入るビロード織は見た瞬間に、これを元になにか新しいものを考えたい、と感じました。クラシカルなビロードで花柄をつくり、それとは相反する未来的なテクスチャーの中に花を浮かべたい、2つの異なる質感をぶつけたいと思いました。何度も試作を重ねていただいた結果、まるで鏡のようにピカピカ光る質感をつくるために、本来は織物には使わないようなメタリックシートを細く裂いていただき、それを糸のように織り込んでベースの生地を制作していただきました。裂き方にもバリエーションを持たせることで光の反射の強弱が生まれ、見る角度によって光沢に動きが生まれました。また、あえて黒を選択することで生地表面の艶がより強く光を放ちます。今回の織物は、伝統的な技法と、今までにトライしたことのない素材とで、新たな織りの表情を探りました。